Lthal weapon━殺人兵器━











「や・・・やめてくれ・・・!!金なら払う!だから・・・殺さないでくれ!!」
男が震えながら後ずさりしていく。



「・・・死ね」



黒い服の男が手を振り上げる。
赤い爪が月の光に照らされて妖しく光っている。


「や・・・やめっ・・・・・ぎゃぁぁぁあ!!!!」
黒い服の男が手を振り下ろし、赤く、長い爪が男を切り裂く。

辺り一帯が・・・赤い血に染まる。




━ブーッブーッ━
黒い服の男が携帯を開いてディスプレイにギガ・ルルークと言う文字を確認した。

「はい・・・こちらクロットです」黒い服の男は電話に出た。
「終わったか・・・?」
「・・・はい。任務、完了です」
黒い服の男は、電話を切り歩き始めた。




Lthal weapon━殺人兵器━ 前編




クラスの中は、ワイワイガヤガヤしている。

「今日から新しく担任になる、レリータ・キシアナでーす!よろしく☆」
異常なテンションでレリータは教室に入ったが、生徒からは冷たい目を向けられる」
「は?うぜぇし」「消えろや」クラス全員がヤジを飛ばす。

「え・・・と・・・、き、今日は転校生を紹介をします!・・・入って!!!」

銀髪の少年が教室に入ってくる。
「クロット・アスレジーナです。よろしく。」クロットは精一杯作り笑いして言った。
━何だよ・・・このクラス・・・━

「えっと、今日のHRはクラスの委員を決めます。代表委員は・・・」
「転校生が良いと思いまぁ〜す」その意見にクラスの人たちが賛成した。

「じゃあ、クロット君・・・いい?」
「えぇ、良いですよ。学校のことを知るにも良いだろうから」
クロットはニコッと笑った。


「何か・・・あいつウザくね?」一人の男が言う。
「ニコニコしやがって・・・そんなに好かれたいのかよぉ」

「なぁ・・・やってやんねぇ?」 何人かが笑いながら話している。




━休み時間━




「なぁ、クロット、トイレ行かねぇ?」
何人かがクロットに話しかけてきた。

「いいですよ、別に」クロットは笑ってついていった。

━・・・ったく、めんどくせぇ・・・━


トイレに入ってすぐ、クロットは壁に押しつけられた。
「お前さぁ、ウザいんだよね。ニコニコしちゃってさぁ・・・」
「そーだよ。何が、いいですよ。だ、消えろや!」一人の男がクロットの頬を叩いた。



「別に・・・笑ってないと・・・本性出ちゃうし」
クロットは今までとは違う笑顔を見せた。



「なぁにが本性出ちゃうし・・・だよ。出してみろよ!!!」
一人の男がバンッと壁を叩く。

━殺るか・・・でも、ギガ・ルルークの許可がないと・・・━






━ブーッブーッ━  携帯が鳴る。


「ちょっと失礼・・・」 クロットはメールを開いた。


送信者 ギガ・ルルーク 

本文 次のターゲットだ。
   ※画像あり

クロットは画像を開いた。
すると、画像には目の前にいる奴らの写真。

━殺るか・・・━ クロットはニヤッと笑った。

「何ニヤニヤしてんだよ。マジキモいよ?お前」


「フフ・・・お前等を殺れると思うと嬉しくて・・・ね?」
そう言うとクロットは左手首に着いているリミッターに手をかけた。

カツンッと音を立てて、リミッターが床に落ちた。


「ひ、ひぃ・・・!!!」クロットの姿を見た男が悲鳴をあげた。

黒い髪に赤い長い爪、そして赤い目だ。


「俺は・・・、殺人兵器なんだよ。世間的に言うと・・・殺し屋ってやつ・・・?
・・・でお、俺は人間じゃない。・・・俺は・・・兵器だ。」

そう言って、クロットは手を振り上げた。

「やめてくれっ!!許してくれぇっ!!」男達が逃げ出そうとする。


「お前等は・・・ターゲットだ。逃がすわけには・・・いかない。」
クロットは手で男達を切り裂いた。

「ぎゃあぁぁぁぁ!!」品のない悲鳴が響き渡る。
クロットには大量の血がかかっている。


クロットはギガ・ルルークに電話をした。

「終わりました。すいません、派手にやっちゃったんで、また転校させて下さい・・・」
「わかった・・・手続きをしておく」 「ありがとうございます・・・でわ」

クロットはリミッターを左手首にはめた。



「俺に殺られた者は・・・痛みはない・・・一瞬だけ、だからな」
クロットはそう言いながら、返り血を啜った。

「クロット君・・・?どうしたの・・・?」
「・・・!!!何でも・・・ないです」
レリータの位置からでは、死体や血は見えない。

クロットは慌ててトイレから出た。
「その血!!!どうしたの!!?」 レリータは驚いた。

「大丈夫です。何でもない・・・ですから。
それより・・・また転校する事になりました。」
クロットはニコッと笑って学校を出た。



その事件は迷宮入りとなって、「切り裂きジャックの再来」と噂された。




















「切り裂きジャックの再来」 翌日の新聞のトップ記事になっていた。


クロットはその記事に目を通して、学校に行く準備を始めた。

「…何度目だろう」 殺しては移って、殺しては移って。
何度もそれを繰り返してきた。 しかし、クロットは気付いていた。 殺すことは、指名。殺すことは、生き甲斐。

人を殺すことでしか得られない何かがそこに…ある。
殺すことで、自分の存在を感じる。 横たわる死体の中に、唯一無二の自分がいる。
返り血を啜ることで喉を潤せる。
自分には…殺ししかない。




そんな事を考えていると、ギガ・ルルークが部屋に入ってきた。
「学校に…行かないのか?それと…」と言ってギガ・ルルークは茶封筒をクロットに渡す。「今回の報酬だ。」
クロットが中身を見ると万札が何枚も入っている。
「こんなに…?」クロットはギガ・ルルークに聞く。

「いいんだ。おまえの能力には、それだけの価値がある…。ほら、学校に遅れるぞ。」

「行ってきます」 クロットは茶封筒を鞄にしまい、家を出た。













「クロット・アスレジーナです。よろしく。」
クロットは次の学校でも、作り笑いをして挨拶をした。

しかし、クラスの反応は前の学校とは違った。
「ウォー!!転校生!!!」 「銀髪カッケー!!!」
クロットはあっという間に人に囲まれた。
「よろしくお願いします」クロットは少し笑って言った。

しかし、クラスの中に一人。クロットの周りに来ない人がいた。

「あの…、あの人は?」クロットは1人でいる男子に目を向けた。


「あぁ、あいつは関わらない方がいいぜ。お前も汚れるぞ?」
一人の男が言って、みんな笑っている。
「汚れる…?」「あいつ、今日トイレの水かかったから!」
みんながゲラゲラ笑い、男子は顔を俯けた。

「なんで…ですか?」



「俺達がかけたんだよ。あいつ…いい子ぶって、ウザいし。」





こみ上げる殺意を押さえながら、クロットは男子の所へ行った。

「俺は…クロット・アスレジーナ。よろしく。」クロットは笑って手を差し出した。

「聞いただろ?僕に近寄ると汚れるんだ…」男子は顔を上げない。

「汚れる?…汚れてんのは、あいつらだろ?」クロットは男子の耳元で言った。
その言葉を聞いて、男子はやっと顔を上げた。



「俺と…友達になってよ」


クロットは本音を言った。
「僕は…キュロクス・フロディーネ…よ、よろしく…」
キュロクスはクロットの手を握った。クロットは他の奴らの目など気にしなかった。




―こいつと友達になりたい…―

放課後になって、クロットとキュロクスは一緒に帰った。
「何で僕と友達になったの…?君までいじめられるよ…?」
キュロクスは恐る恐る尋ねた。
「友達になりたいと思ったから。…俺にとっては、初めての友達だよ、キュロクスは」 「えっ!?クロットなら友達とかいっぱいいそうなのに…」
キュロクスは驚いた。
「友達なんて、いなかったよ。ずっと…ね」 すると道端に新聞が落ちている。

キュロクスは新聞を拾って読み始めた。


「切り裂きジャックの再来…」
クロットはその言葉にビクッとした。


「どう思う?この事件…」クロットはキュロクスに聞いてみた。


「んー…。こんな事言っちゃダメかもしれないけど…もし、僕の近くにいるんだったら…あいつらを消してほしい。
僕は普通にしているだけなのに…何でいじめられなきゃいけないんだよ…」
キュロクスは声を殺して泣き出した。



「…もし、俺がその「切り裂きジャック」だったら…どうする?」



「え…?」

キュロクスが一瞬、困惑の表情を浮かべたのでクロットは話をそらした。



「う、嘘だよ!!うーそっ!何、マジにしてんだよ!…ハハハ…」


「…そ、そーだよ…ね…。うん、ありえないよね!!」
キュロクスはニコッと笑った。

「…あっ!!!俺、こっちだから!」クロットはそう言って角を曲がった。







その日の夜、キュロクスからメールが来た。


―僕と友達になってくれて、ありがとう。これからも、よろしくね―


―うん。俺達、何があっても友達でいような―


―うん。僕達は…友達だ!じゃあ、僕は寝るね!―



そんなメールをした後、クロットは仕事に出た。

いつも通りの…殺人。
無情に人を切り裂き、返り血を浴びて、自分の存在感を得る。




仕事を終えて家に帰ると、ギガ・ルルークに、分厚い封筒を手渡された。


「今日の分の金と、次のターゲットだ」
「…はい」






「それと…余計な感情は持ち込むなよ」

  その言葉にクロットはドキッとした。






「…!!はい…」



クロットは部屋に入って封筒の中身を見た。








「…やっぱり…」









そこには、クラスの人たちの写真。もちろん、キュロクスの写真もある。



「…はぁ…何で…」

クロットはキュロクスの写真を見ながら言った。


クロットは寝床に入ったがなかなか寝付けない。
今までなら、ためらいなく人を殺せた。
でも今は…友達がいる。 たった一人の友達。

初めて、友達になりたいと思った。



―あいつとなら、やっていける―



そう思ってしまった。




―殺人兵器には、人の愛など必要ない―







昔から、そう教えられてきた。


クロットはそのまま夜を明かした。






―学校―


「クロット、おはよう!」
キュロクスが笑顔で近寄ってくる。


「あ、あぁ…おはよう!」
クロットは無理に笑った。


タイムリミットは今日の放課後だ。 それまでには、殺さなければならない。



クロットは授業中もずっと考えていた。


「クロット、トイレ行かない?」



休み時間にキュロクスに誘われた。




「うん、いいよ、行こう」クロットはあまり気が進まなかったが行くことにした。




「…クロット、今日元気ないね、大丈夫?」


「…大丈夫だよ」
クロットは作り笑いをして言った。






「そっか、何かあったら言ってよ、友達なんだから」




キュロクスは照れ笑いしている。
クロットは友達という言葉にズキッときた。


二人が教室に戻ると、教室が騒がしい。


「あ、おかえりー。クロット君、キュロクス君」


一人の男が鼻につく言い方で言ってくる。



「…何?」
クロットはつっけんどんに言い放った。


「君達の机、デコっておいたよぉ☆」

クロットが机を見ると、机には色々なことが書かれている。





―死ね―


―消えろ―


―汚れた者―







クロットを殺人衝動が襲う。

何かが頭の中で切れる。



「…死ぬのは、お前等だ」クロットが声を低くして言う。



「え…クロット!?」キュロクスがその言葉に驚いて、近寄ってくる。


しかし、クロットはキュロクスを突き飛ばして教室の外へ出す。


クロットがリミッターを外す。


「いったた…クロッ……!!!?」キュロクスは教室の外で驚いている。





クロットは次々にクラスメートを切り裂いていく。

鮮血がクロットにかかる。







「クロット…? 」 全員殺った頃にキュロクスが教室に入ってきた。







「ごめん……俺が…切り裂きジャックなんだ…」クロットは下を向いて言った。
そして、クロットはキュロクスに爪を立てた。

キュロクスは反抗しない。








「いいよ。殺し…ても」








キュロクスは震えながら言う。


「…やっぱり、無理だよ…キュロクスを殺すなんて…」



そう言ってクロットはリミッターを拾う。


そして、左手首にリミッターをはめようとした時…



「クロット・アスレジーナ!!動くな!!」



頑丈な服を着た二人組が教室に入ってきて、クロットを捕らえる。



「なっ!!!」

「LW警察だ!お前を命令違反でトマ・フロストの元へ連行する!!」


LW警察とは殺人兵器専用の警察。
そして、トマ・フロストとは殺人兵器の最高司令官。



「ほら!!来い!!」

二人組はクロットを無理やり連れて行く。


「クロット!!!」



「こいつが…残ったのか」そう言って、一人が銃を構える。


銃口がキュロクスに向く。

「…!!!やめろぉっ!」クロットは爪を男に向ける。


「おい、そいつは生かしておいてやれ。…お前の手が飛ぶぞ」


もう一人の男が冷静に言う。
「…わかったよ。じゃ、早くそいつを連れて行こう」


男が銃をしまいながら言う。
二人はクロットの腕を引っ張って外へ連れて行った。

「くそ!!やめろ!!…くっ!!」
クロットは手荒く車に乗せられた。




「よし、出せ」

車はゆっくりと走り出す。





「クロット…クロットォォォ!!」





クロットが窓越しに振り返ると、キュロクスが追いかけてきている。



「あ…あぁ…キュロクス…っ」







クロットの頬を生暖かい物が流れた。






トマ・フロストの所へは三十分程だったが、クロットはずっと泣いていた。



「…クロット」

建物の入り口にギガ・ルルークが立っていたが、反応することが出来なかった。

トマ・フロストの部屋に入ると、真っ暗でトマ・フロストの顔は見えない。








「クロット・アスレジーナ。お前は…能力の剥奪及び、十年間の懲役だ」





「…はい」


クロットは震える声で言った。



  

  〜エピローグ〜


―十年後―




クロットは十年ぶりに外に出た。



空は重く、息が白い。
クロットが門を出ると、一人の青年が立っている。



「…キュロクス?」





クロットは尋ねる。




「うん、僕だよ。ギガ・ルルークって人が教えてくれたんだ…今日出られるって。髪…伸びたね」


「十年も、切れなかった…からね」クロットは苦笑いする。



キュロクスは真面目な顔で










「…おかえり、クロット」







「ただいま…」

雪とともに一筋の涙がこぼれ落ちた。




モドル